ずっと好きで見続けている作家がさらに良くなっているのを目にした時は本当に心躍る瞬間です。昨日久々にその感動を味わいました。私も小さな作品のオーナーである山景美季氏。最初に彼女と話した時に「名前からして絵を描くことが決まっていたみたいね。」と言ったのをよく覚えています。
大好きな作風ではあったけれど、そのキャンバスの上には何か心をざわざわとさせる重く、鋭い空気が漂っていたような以前の作品。ところが今回の個展では作品それぞれからその心に引っかかるなにかが全て消え去り、静かに美しく、その上作品自体に存在感を増していたような気がしました。写真ではなかなかお伝えできないのですが。。。
雨をイメージした2作品。特に最新作のこの水色の作品は雨の音や空気の匂いまでも感じることができます。在廊していた山景氏いわく「ちょうどいい感じで降っている時の雨」なんだそう。。。
大きな作品も今までとは違った印象が。以前は緊張を強いられていたピンと張りつめていた空気感が消え、すべてを超えて今度は見る者を包み込む温かな表情に変化しています。
そして小さなこの作品。これは本当にいい作品だと思います。。。「うわ~~幸せ度アップしたね~~!今回の個展!!」と彼女に伝えると「そんな風に言われたの初めてです~」と言ってました。まあ、そんな表現を画廊でするのは私くらいなもんですものね。。。
とにかくずっと「いいわ~~!」「好きだわ~~!」の連発の個展でした。
さてこの後相方柏井と合流しインディペンントキュレーター加藤義夫氏(通称ヨッチャン)が企画されているアートのイベント「ヨッチャンの部屋」へ。この日はギャラリーヤマグチクンストバウの山口孝氏を迎えてのトークイベントです。場所は大阪造形センター。アトリエのような倉庫のような薄暗い独特のスペースの中は人がいっぱい!前で話すお2人の様子はプチアクターズ・スタジオのようでカッコいい!(写真を撮ったのにさっき操作を誤り消してしまった~~)
まだ現代アートが全くといっていいほど受け入れられなかった時代から30年もご自身の姿勢を貫き、アート普及に奔走されていた山口氏のお話にはジンときました。自分がいいと思ったものを世に知らしめていくというのは並大抵のことではないでしょう。作家、そして作品への愛情が深くないとできることではありません。そして今も多くのギャラリストが同じ思いであることに改めて気づくことができました。加藤氏の巧みな話術で山口氏から様々な興味深い話を引き出しながらも、随所に山口氏のお人柄を感じることができるとてもいいトークイベントでした。。。