先日ニッチのお話でご紹介したS様邸に残りの平面作品を取り付けに行ってきました。奥様も私たちも壁に作品がかかるのをとても楽しみしていましたが、想像以上の完成度の高さに3人とも感激してしまいました。
画廊で絵を見ている時にお客様の顔が浮かぶ時がよくあります。「この作品はぜったいあのインテリアにピッタリだ」とか「これはあのお客様のお好みだ」等々・・(画廊関係者の方々、私たちはいつもにぎやかで画廊の雰囲気を壊していますが、ちゃんと考えてるんですよ~!!)
さて今回納品のサイモン・フィッツジェラルドの11月の個展でも真っ先にS様のお顔が浮かびました。「Open Book」というタイトルの作品の数々。キリスト教の祈りの言葉「Kyrie eleison Chiste eleison」 「主よ、憐れみたまえ キリスト、憐れみたまえ」のテキストが細かい文字でびっしりと描かれています。素晴らしい作品です・・
私たちがアートコーディネートする場合、各ご家庭のインテリアに合わせ(大きさや額装も含め)お客様のお好みも充分考慮した上で大阪、東京、京都の画廊から作品をセレクトし、その中でお客様に選んでいただいています。そのためあまりブレはないのですが。長年のインテリア・コーディネーターの経験からまったく計画していなかった場所に突然その場でご提案することも少なくありません。この場所もその一つ、奥様が一目惚れで購入されたチェストがいい「受け」となりこの壁にサイモン作品がぴったりと突然思いついたのです。
結果、アジアンテイストのチェスト、ご主人様のお母様から譲りうけられた壺、そしてイギリス人作家の作品とすべて異なったテイストであるはずの3点が絶妙な調和を生み出しました。
そしてインテリアにおいても、アートにおいても「流れ」を作り出すのが一番重要です。エントランスからある一定の法則を考えながらテイストをまとめていくのは私たちの仕事の原則であると思います。
ホールに入った時に右側にはセルジオ・カラトローニ作品(受けとなっているのは奥様が求められたそれは美しいグラスが・・)そしてサイモン作品。。
そして左側には熊谷誠氏の「日の出」が・・空間が一変しました。
その奥には橋本夏夫氏のアルミの作品も・・・
この空間にいるだけで魂が浄化され、静かに自分と向き合うことができるような・・そんな気分になってきます。
奥様が先日「この家は様々な人との縁が創り出してくれたもの。私たちは住まわしてもらっているだけ。そんな思いで丁寧にお掃除もしているの。そう思って暮らしているとアートにしても調度品にしてもこの家にぴったりのものがみんな自然と集まってきてくれるのよ。」とお話されました。奥様のその言葉は深く私達の心に響きました。
今回納品の作品達、「ほんとにほんとに素晴らしいお客様のところにお嫁に行ってよかったね。」そんな思いで私たち2人は帰途につきました。